畜産における動物の虐待について

現在の畜産において、二つの問題点がある。
1、畜産動物を飼育するために大量の水と食料を消費すること。
2、畜産動物の虐待。

まず、1について。
畜産動物を飼育するには、大量の食料と水を必要とする。
現在人類は、23億羽の鶏、15億頭の牛、10億頭の豚、10億頭の羊を飼育している。
地球上にある農地のうち、83%が家畜を飼育するための放牧地や飼料用作物の栽培などに使用されている。
1kgのステーキ肉を作るために必要な穀物は25kg
それほど畜産は食料生産効率が悪い。
もし家畜に与えた水や食料などを人間に直接与えたなら、35億人に栄養を行き渡らせることが出来る。
そうすれば、現在世界にある飢えや栄養失調といった問題は、解決に向かうだろう。

 

次、2について。
人間が殺す動物の数は、1日2億頭。1年に740億頭が殺されている。
さらに畜産動物は、狭い飼育場に閉じ込められ、育てられている。

豚は「妊娠ストール」により育てられている。
「妊娠ストール」とは、母豚を種付け前後から出産まで114日程度、自分の体と同じくらいのスペースで飼育する施設。
母豚たちは、後ろを振り向くことも、真横に首を動かすことも、歩くこともできない。
母豚たちは初めて妊娠した瞬間から、殺されるまでの2~4年間、ストールに拘束される。
腹の中で子が大きくなり、分娩直前になったら今度は分娩ストールという、同じく拘束檻に入れられる。

EUでは妊娠ストールの使用は禁止された。
ブラジルの食肉企業も、中国最大の食肉企業も、タイ最大の食肉企業も廃止を明言。
この拘束飼育をやめたところで、生産性に影響はない。
むしろ、母豚は健康になり、廃用にされるまでの期間が伸び、子豚の生育率にも良い影響を与える。

また屠殺の仕方も、動物に苦痛を与えるような殺し方が行われている。
屠殺場に運び込む際も、輸送業者、屠殺場の職員は電気スタンガンを使い、苦痛を与えている。

動物の飼育に関する新しい考え「アニマルウェルフェア」は、イギリスで始まった。
イギリスの家畜福祉の活動家ルース・ハリソンが著書『アニマル・マシーン』で畜産の虐待を批判。
世論の高まりを受けて英政府は、
「すべての家畜に、立つ、寝る、向きを変える、身繕いする、手足を伸ばす自由を」
と提唱、それが基本原則「5つの自由」として確立。
これが家畜、ペット、実験動物など、あらゆる動物に対する動物福祉の基準となる。

5つの自由とは
「飢え、渇き及び栄養不良からの自由」
「恐怖及び苦悩からの自由」
「物理的、熱の不快さからの自由」
「苦痛、傷害及び疾病からの自由」
「通常の行動様式を発現する自由」



採卵鶏には4つの飼い方がある。
「放牧」外で放し飼いにする。
「平飼い」建物の中で放し飼いにする。
「エンリッチドケージ」広いゲージで飼う。
「バタリーケージ」狭いゲージで飼う。

放牧>平飼い>エンリッチドケージ>バタリーケージ
なるべくなら、最も良い「放牧」を目指すべきだ。

日本の飼育方法の主流は「バタリーケージ」
92%の採卵養鶏場が採用している。
鶏のバタリーケージ、母豚の妊娠ストールも、世界の国国で禁止されていっっている。
しかし、日本では未だに続けられている。日本でも禁止すべきだ。



以上のように見てきたが、俺が主張したいのは3つ。
1、動物を屠殺するにおいても、なるべく苦痛を与えないような殺し方を選ぶべき。
2、動物の飼育数を世界的に減らすこと。それによって、畜産動物のために農地を余計に使う必要がなくなる。
3、畜産動物を飼育するにあたり、なるべく動物に苦痛を与えない、動物の幸せに配慮した飼育方法を選ぶべき。